藤森教授らがネットゼロ排出目標は途上国にどれほどの経済的影響を与えるのか?— 京都大学などの研究チームが国際的な負担分担のあり方を定量的に分析についてプレスリリースを発表しました。(2026年2月)
パリ協定では、世界の平均気温上昇を産業革命以前と比べて
2℃を十分に下回り、1.5℃に抑える努力を追求するという長期目標が掲げられています。これを受け、先進国のみならず、途上国を含めた多くの国が今世紀半ばまでに「ネットゼロ排出(カーボンニュートラル)」を達成する目標を表明しています。しかし、こうしたネットゼロ排出目標が途上国にもたらす経済的影響、またその負担の軽減策はこれまで十分に明らかにされていませんでした。この度、京都大学大学院工学研究科の藤森真一郎教授が率いる京都大学、立命館大学、国立環境研究所、名古屋大学の研究チームは、世界各国のネットゼロ排出目標を対象に分析を行い、ネットゼロ排出目標が途上国に与える経済的負担の大きさ、その負担を軽減するための国際的な選択肢を検討しました。3つの代表的な長期将来シナリオを用いた分析の結果、以下の3点が明らかになりました。(A)ネットゼロ目標:途上国に巨額のマクロ経済的損失をもたらす可能性があること(B)途上国の排出削減の減免:途上国の排出削減を一部免除し、先進国が代わりに排出削減を担う場合、世界全体で年間約30ギガトン(Gt)のCO2を大気中から回収して貯留する「二酸化炭素除去(CO2除去)」が必要となり、その費用は先進国の家計消費の10%を超える規模に達する(C)資金援助:途上国自身の排出削減はネットゼロ目標で維持しつつ、その経済的負担を国際的な資金援助で補う場合には、年間約2.7兆米ドル(先進地域の家計消費の約5%に相当)の支援が必要であるものの、必要となる二酸化炭素除去が年間約8Gtに留まることこれらの結果から、途上国も着実に排出削減を進めつつ、国際的な資金援助によってその負担を軽減することが、地球規模でネットゼロ排出を達成するための現実的な道筋であることが明らかになりました。
本研究成果は、2026年2月12日に、Springer Natureの国際研究雑誌「Communications Earth &
Environment」にて発表されました。
【京都大学ホームページ研究成果】https://www.env.t.kyoto-u.ac.jp/ja/news-events/news/qfb6eg
【藤森研究室】https://www.athehost.env.kyoto-u.ac.jp/
【論文】https://www.nature.com/articles/s43247-026-03208-5
