環境保全工学

廃棄物から社会を視る、その知見を循環型社会形成へ

廃棄物から社会を視ることは、循環型社会形成への知見を与えてくれます。廃棄物の適正管理技術や化学物質の環境動態との関連を持たせながら、主に物質循環のシステム解析や循環型社会形成モデルに関する研究をしています。
また、京都大学の環境管理を担当しており、教育研究の環境保全やキャンパスサステナビリティの研究にも取り組んでいます。

教員

平井 康宏 ( Yasuhiro HIRAI )

hirai.jpg教授(環境科学センター)

研究テーマ

物質循環・廃棄物管理施策を統合的に評価する手法の開発と、個別リサイクル法などの政策評価への応用を研究しています。

連絡先

吉田キャンパス 総合研究2号棟 225号室
TEL: 075-753-7706
FAX: 075-753-7710
E-mail: hirai@eprc.kyoto-u.ac.jp

矢野 順也 ( Junya YANO )

准教授(環境科学センター)

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研究テーマ

フィールド調査を踏まえた廃棄物・資源循環フローの推定とライフサイクルの環境影響評価を研究しています。社会実装・政策提言につながる研究を意識しています。

連絡先

吉田キャンパス 総合研究2号棟 219号室
TEL: 075-753-7711
FAX: 075-753-7710
E-mail: yano@eprc.kyoto-u.ac.jp

研究テーマ・開発紹介

循環型社会形成に向けたGHG排出勘定とライフサイクル分析

社会経済活動における素材や製品の生産・使用・廃棄の実態をマテリアルフロー分析(MFA)により把握し、そのフローに伴う環境負荷をライフサイクルアセスメント(LCA)により定量化することで、循環型社会形成や脱炭素社会移行に資する基礎情報を提供するとともに、各種資源化・処理方式の評価を行っています。具体的には、家電製品や自動車などの長期耐久財のフロー・ストック・寿命推定、バイオマスプラスチックの普及による環境負荷削減効果の評価、プラスチックや木質材料などの化石由来炭素割合の推定による廃棄物焼却由来の温室効果ガス排出インベントリの精緻化、また、カーボンニュートラルを見据えた素材産業の生産技術変化を踏まえた廃棄物処理・リサイクル工程からのGHG排出量を算定するボトムアップ型のモデル群の開発などに取り組んでいます。

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図1. マテリアルフロー分析とライフサイクルアセスメントのイメージ

循環型社会形成と化学物質制御のシステム解析

 

循環型社会において化学物質のリスクを管理するには、資源化行程を含む化学物質のライフサイクルの各工程からの環境排出や、自然環境における化学物質の挙動を把握することが必須です。そこで、化学物質やその含有製品のフロー解析に基づく排出インベントリの推定や、環境動態モデルを用いた環境中濃度や曝露量の予測、観測データとの比較検証や統計解析を行っています。ポリ塩化ビフェニルや短鎖塩素化パラフィンなどの残留性有機汚染物質や、水銀・鉛などの重金属類を対象としています。

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図2. PCB規制・分解処理事業を経た総PCB排出量推移

市民のライフスタイルと環境政策効果に関する研究

天然資源の消費抑制と環境負荷の低減を原則とした循環型社会の構築に向けた社会応用を図る際には、人や企業の行動が重要であり、実証確認をベースに社会行動モデルを構築、施策効果を評価して、制度設計に活用することが求められます。具体的には、ごみ組成調査を通じてレジ袋等のシングルユースプラスチックごみや食品ロスなどの組成や排出量を明らかにすることで、環境政策の効果を評価します。また、細組成データやネットアンケート等を活用し、市民の分別・排出行動とごみ細組成・分別率等との関連性を紐解き、効果的な環境政策について検討しています。

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図3. 家庭ごみ細組成調査による手つかず食品

教育研究の環境保全とキャンパスサステナビリティ

教育研究環境における廃液・排水、廃棄物、エネルギーや温室効果ガスに関する基礎研究を行うことにより、その環境マネジメントシステム構築やサステナブルキャンパス実現を促進する研究を行っています。具体的には、入口側の化学物質や資源・エネルギー消費量、出口側の実験排水分析データやプラスチック廃棄物組成・排出量、温室効果ガス排出量のデータ解析等を行います。

研究室ウェブサイト

http://eprc.kyoto-u.ac.jp/research/laboratory/