水環境工学

下水道は、浸水防除、公衆衛生の向上、水質保全の観点で重要な役割を果たしてきましたが、近年はこれに加えて、下水管渠を通じて収集される資源を回収し、下水処理場を地域活性化の拠点、エネルギー拠点へと進化させることが期待されています。本研究室では、下水道を教育・研究の中心に据え、健全な水環境の創出と持続可能な地域の創造を目指した研究に取り組んでいます。フィールド調査、実験、計算機シミュレーションを組み合わせ、反応機構の解析や物質収支の議論を行うことにより、未知な現象の解明とその基礎原理に基づく水処理技術の確立を目指します。また、基礎研究からスケールアップによる実用化までをシームレスに進めることにより、学術の発展に加えて持続可能な社会の実現に直接貢献したいと考えています。

教員

藤原 拓 ( Taku FUJIWARA )

教授(工学研究科)藤原拓.jpeg

研究テーマ

  • 創エネルギー型水処理プロセスの開発
  • 水処理プロセスからの温室効果ガスの排出抑制
  • 農業地域の面的水管理・カスケード型資源循環システムの構築

連絡先

桂キャンパス Cクラスター C1-2号棟 222号室
TEL: 075-383-3348
FAX: 075-383-3351
E-mail:fujiwara.taku.3v@kyoto-u.ac.jp

日高 平 ( Taira HIDAKA )

講師(工学研究科)日高平.jpeg

研究テーマ

  • 生物学的廃水処理
  • 嫌気性消化による廃棄物系バイオマスの利活用
  • 閉鎖性水域の水質管理

連絡先

桂キャンパスCクラスターC1-2号棟223号室
TEL: 075-383-3350
FAX: 075-383-3351
E-mail: hidaka.taira.4e@kyoto-u.ac.jp

野村 洋平 ( Youhei NOMURA )

助教(工学研究科)野村洋平.jpeg

研究テーマ

  • 微量有機化学物質の除去技術の開発
  • 物理・化学的酸化反応による水処理技術の開発

連絡先

桂キャンパスCクラスターC1-2号棟221号室
TEL: 075-383-3349
FAX: 075-383-3351
E-mail: nomura.yohei.3r@kyoto-u.ac.jp

研究テーマ・開発紹介 

脱炭素社会に貢献し、付加価値を生み出す未来の下水道システムの構築

下水処理場をエネルギー供給拠点へと転換するため、下水中の資源を徹底活用して価値を生み出す新規概念の下水処理システムの構築を目指します。高効率固液分離槽と正浸透(FO)処理槽により有機物濃縮と下水処理を同時に実現し、濃縮有機物はメタン発酵槽によりエネルギーへと転換します。メタン発酵に関しては、再生可能エネルギー由来の水素をメタンに変換する技術開発にも取り組み、既存下水処理場のエネルギー拠点化にも貢献します。既存下水処理場からの温室効果ガス発生機構の解明と対策技術の開発等の一連の研究により、脱炭素社会に貢献する下水道の実現を目指します。さらに、下水処理水を活用した大型藻類の培養技術を確立し、蓄積される多糖を基点とした化成品の製造など、付加価値を生むシステムの構築にも取り組みます。

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汚水処理施設と農業の連携による地域資源循環システムの構築

水・エネルギー・食料は人間の生存に不可欠な資源であり、各々の相互関係を考慮した地域資源循環システムを構築する必要があります。中小都市における汚水処理施設と農業の連携は、水・エネルギー・食料連環の観点から重要であり、廃水・廃棄物の質を考慮したカスケード型資源循環システムによる価値の創出を目指しています。また、乳酸発酵・光合成細菌・藻類培養などを組み合わせた小規模廃水処理・メタン発酵技術を開発し、メタン発酵を核にバイオマス資源活用の最適化を図るとともに発酵残渣の肥料価値向上を試みます。さらに、メタン発酵により発生する熱および二酸化炭素を施設園芸ハウスで利用するシステムの検討を行い、地域における価値創造の観点から適切な下水処理場および施設園芸ハウスの配置を検討します。

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カスケード型資源循環システム1, 2)

1) 科学技術振興機構(2016)戦略的創造研究推進事業CREST 「持続可能な水利用を実現する革新的な技術とシステム」 研究領域、平成21年度採択研究課題:気候変動を考慮した農業地域の面的水管理・カスケード型資源循環システムの構築(研究代表者:藤原拓),1-8.
2) 藤原拓(2016)農業地域における面的水管理・カスケード型資源循環システムの構築、水環境学会誌、第39巻(A)第 9 号、328-332.

物理・化学的水処理機構の解明と技術開発

公共の上下水処理において、濃度が極低いにも関わらず、異臭味(上水)、ヒトへの健康影響(上下水)、放流先の水生生態系(下水)への影響が懸念される化学物質や病原微生物の存在が指摘されています。これらの中には、従来の生物反応を活用した処理法では除去しえないものも存在し、紫外線やオゾン、光触媒などを用いた物理・化学的な酸化処理に期待が寄せられています。これらの処理方法の最適な設計や運転のために、実証的検討および理論的解析の両面からのアプローチで研究を行っています。特に、除去対象物質と生成抑制対象物質のバランスの達成、共存物質としての有機物の反応性評価および有機物の処理性能への影響に焦点を当てています。さらに、酸化チタン/高シリカ型ゼオライト複合シートを活用した新規の促進酸化処理装置の開発にも取り組んでいます。
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回転円板型促進酸化装置

水質汚濁機構の解明

人間の活動に伴って種々の有害物質が環境に排出され、それらは環境中で輸送・変換され、生態系を通じて濃縮され、水質汚濁問題を引き起こします。同時に、我々人間の生存の基盤である生態系にも甚大な悪影響を及ぼします。これら汚染物質の発生機構、環境中での輸送・変換機構、生態系での移行・濃縮機構および環境影響についてのフィールド調査を基礎とした研究を実施し、動態把握を行うとともに、適切な流域管理手法の開発に必要な情報整理と考察を行います。

研究室ウェブサイト

http://water.env.kyoto-u.ac.jp