環境リスク工学
科学技術の進歩とともに人工化学物質、重金属、放射性物質等、様々な物質が環境中に排出され、長期的かつ広範囲に環境汚染を引き起こし、環境リスク(人の健康、生活、経済・社会システム、生態系への悪影響)がもたらされています。当研究室では、都市レベルから地球規模で環境中に放出される様々な有害化学物質(特に重金属、放射性物質)による大気・水・土壌の汚染がもたらす環境リスクの評価を、フィールド調査による実データの収集、実験、環境モデリングによる数値シミュレーションを組み合わせて、環境中の有害物質の挙動を解析、人間への移行経路(曝露経路)と曝露量を解析し、環境リスクを評価しています。さらに、工学的なアプローチに加え、社会科学的なアプローチも取り入れて、環境リスク低減のためにはどのような手段が効果的であるかを明らかにしようとしています。
教員
島田 洋子 ( Yoko SHIMADA )
教授(工学研究科)
研究テーマ
環境放射能や有害物質などの環境リスクへの取り組みとして、個人の生活レベルでの活動がどれだけ環境に負荷をかけているのか、またこれらの負荷を軽減するにはどのような手段が効果的であるかを、モデル化を通して定量的に解決して行く。地球規模から都市レベルにおける環境問題の解決のため、行政などによる環境政策や中長期的計画を策定する上で、有用な知見を提供する。
池上 麻衣子 (Maiko IKEGAMI)
准教授(工学研究科) 
研究テーマ
- 土壌中重金属および放射性物質の挙動に関する研究
- 環境中における微量元素曝露に関する研究
森林放射能汚染のリスク評価および福島の森林再生のための総合的評価手法の開発
2011年3月11日の福島第一原子力発電所事故により放出された放射性物質によって汚染された森林は林縁から20mの範囲以外が未除染で、森林を事故前のように住民が安全かつ安心して利用できるために、森林の除染により空間線量を低下させ、森林を長期的に適切に管理していくことが求められています。本研究室では、原子力災害による放射能汚染からの最適な森林再生の方向性を示す総合的な評価手法を確立することを目標とした研究を農学と医学の研究者と共同で行っています。具体的には以下のようなテーマを設定して、土壌サンプル採取、アンケート調査、実験、モデルシミュレーションを実施して総合的リスク評価をめざしています。
- 森林生態系における放射性物質の動態評価
- 森林文化サービス・ライフスタイルと健康リスクの評価
- 森林の放射能汚染の経済的影響評価
- 放射能汚染を考慮した森林再生のためのゾーニング


Fig.1
Fig.2
Fig.1 森林土壌の採取
Fig.2 除染による空間線量率の変化のシュミレーション結果
様々な環境汚染のリスク評価
多種多様な微量環境汚染物質による環境汚染のリスク評価においては、人間活動と環境汚染との関わりを定量的に把握することが重要です。本研究室では、特に、土壌・地下水汚染について、重金属による流域や土壌の環境汚染を排出源から人体に至るまでの環境内移行メカニズムと曝露経路をモデル化した環境リスクの総合的評価に取り組んでいます。

Fig3. 環境汚染の暴露経路と環境リスク評価モデルの概念図
